
カシミヤは産地や飼育環境によってさまざまな種類があります
もともと、カシミヤ山羊は中国とインドの国境周辺であるカシミール地方に、名前の由来があります。現在では、シルクロード周辺地域を中心に、中国(内モンゴル)、モンゴル、チベット、中央アジア、イラン、イラク、トルコなどで飼育されていますが、その中でも内モンゴルのカシミヤは繊度が細く、上質なものが得られます。

カシミヤはなぜ暖かく柔らかいか
カシミヤ山羊は寒暖の厳しい地域で飼育されます。厳しい風雪から身を守るために、外側は荒い刺毛の覆われており、皮膚に近い内側には極寒から体温を保つため、きわめて細い産毛を多く蓄えています。
カシミヤ原料として使われるのは、この産毛のみです。独特の柔らかい風合いと、高い保温性が特徴です。この産毛は毎年、厳しい冬を越し暖かくなる晩春のころには自然と抜け落ちてしまいます。
遊牧民は3~4月頃に、自然に脱毛してしまう前に産毛を採取します。採取方法は、羊毛のように刈り取るのではなく、金属製の熊手のようなものを使って、梳き取ります。中近東ではハサミで切り取るようです。
カシミヤ山羊は遊牧民1件あたり、平均で200~300頭保有飼育しています。一頭の山羊から大きい山羊で200~300g程度、小さい山羊で150~200g程度の原毛が取れ、紡績原料として使える整毛になるとその半分の100~150gしか取れません。
一年に一回しか採毛しませんので、遊牧民1件あたり50~100kgの生産量であり、それが彼らの所得です。極めて生産性が低いために、羊毛や他の繊維原料に比べるとどうしても高価となります。
産地別:中国(内モンゴル・チベット・新疆・山東)

中国のカシミヤ産出量は6000~8000トンで、全カシミヤ産出量の55~60%を占めています。
そのカシミヤの毛質は、他産地に比べて細く、独特のヌメリ感と柔らかさがあり、麗しい光沢を持っています。飼育されている色はホワイトが80%ブラウンが20%ぐらいの割合です。
内モンゴル 14.5~15.5μ
中国カシミヤの代表格といえます。ホワイトが95%、ブラウンが5%です。冬はマイナス35度の激寒、夏はプラス35度を超す猛暑で、晩冬から早春には砂嵐が舞う強風が吹き荒れますという極めて厳しい自然環境です。繊度は西部が14.5~15.3μ、東部が15.3~16.0μと細く、ホワイトが多いため、セーターやショールなどに使われます。
特にアラシャン、アーランサン、アルバスが優良産地として有名です。
チベット・青海 15~16μ
ホワイトが30~40%、ブラウンやライトグレーが60~70%で、高所のため内モンゴル同様繊度が細く、毛質は高貴なヌメリ感のある柔らかさと美しい光沢を持っています。
新疆・甘粛 15~16μ
ホワイトが80~90% ブラウンその他が10~20%です。天山山脈の山麓に生息するカシミヤ山羊は、その豊かな自然の恵みと大陸山岳地帯特有の厳しい気候条件により素晴らしく理想的な産毛を育んでいます。
山東 14.5~15.5μ
ホワイトが40~50% ブラウンその他が50~60%です。古来より霊峰「泰山」に生息する神聖な山羊として大切に保護され、多種と交配改良することなくいまに至っているため、昔ながらの小型山羊の特性が守られており、毛足は比較的身近いですが、繊度は極めて細く、羽毛のような軽さと上品な柔らかさ、独特のヌメリ感をもっています。
ゴールデンカシミヤと呼ばれる最高級のカシミヤの産地でもあります。
モンゴル (外モンゴル モンゴル人民共和国)
産毛量は2,500~3,000トンで、干ばつと雪害による山羊の頭数減と出生率の低下から減少傾向にあります。約40%がブラウンで、約40%がライトフォーン、アイボリーです。
モンゴルカシミヤは中国産に比べ繊度が16.5μ~17.5μとやや太い反面、毛足が長いため厚手のセーターや防寒コートに適しているといわれます。
イラン
イラン高原が主産地ということで、生息地の標高が低いため繊度は16μ~18μ太く、クリンプが多いので嵩高な製品に向いています。強度も強いので耐久性や復元力に優れています。ドイツのカシミヤ毛布に使われます。
トルコ・アフガニスタン
繊度は17μ~18μ、毛質はイランカシミヤに近く、カラーはダークブラウンやグレーなど濃色が多いです。
ロシア・シベリア
ウラル山脈近隣のシベリア地方が主産地で、厳寒の地で生息しているため、透き通るような光沢のある白さが特徴です。鮮度は18μ~19μと太いが、独特の柔らかさとヌメリ感があります。
キルギス・カザフスタン
ロシア南部に広がる比較的豊かな国土に生息しており、エサが豊富にあるので繊度が17ミクロン~18.5ミクロンと太く、クリンプも多いので嵩高性があります。日本ではほとんど使われません。
カシミヤの情報は今新毛織さま訪問時にいただいたものを元にしております。